新卒ポーカープレイヤーのブログ

意識高めの大学生だったのに急に色々終わっちゃって新卒を捨てた男がポーカーで生計を立てたくてとりあえずオーストラリアで頑張ってみる話 Twitter:https://mobile.twitter.com/alcohol_hole_

とにかく何かがおかしいっていう話

 

「新台の整理券、取りに来てんだ!」

日が昇り、朝焼けの空が白くなる。「明日は車で高校まで送っていってやる!」そう約束した父親が、見当たらない。もう家を出る準備は出来ているが、見当たらない。電話をしてみると、アイツは悪びれた様子もなく、新しい『海物語』の魅力について語り出す。もう、朝のHRには間に合わない。しかし、父親への怒りも、遅刻への焦りも無い。自分の意識はそのとき既に、遅刻の言い訳を考えることよりも、これを口実にどれだけ父親の“勝ち分”を奪い取れるか、そこに向いていた。

 

 「2,000円貸してくれ~」

日が西に傾き、空が徐々に赤く染まっていく。自分は、家に友達を連れてきている。それにも関わらず、当時大学生だった三男は、開口一番に金銭をせびる。話を聞けば、どうやらパチンコで負けた金をパチスロで取り返しに行くところらしい。そして自分は、待ってましたと言わんばかりに、いそいそと財布からお金を取り出す。闇金業者もドン引き、利子率100%を乗せられた野口は、どこか複雑な表情をしているように見えた。

 

 「お母さん、パチンコしてきます♪」

日は沈み、街灯の明かりが点き始める。雑多な食卓には、黄色い書き置きと500円が置いてある。そこそこの進学校の授業、そこそこキツい部活を終え、そこそこ長い帰路を自転車を漕いでくる。そんな高校時代、家の夕飯が用意されているのは、そこそこ珍しいことであった。20時05分になると、重い腰を上げて徒歩2分のスーパー、ウ○エイへ向かう。店に着くころには、全ての惣菜に半額シールが貼られているのだ。

 

 

 ランドセルを背負っていたころにストリートファイターⅡで1,000円を奪われた時には、薄々勘付いていた。この家は、何かがおかしい。

 

 地元で最高級のホテルでコックをしていたはずの長男は、20代のころに7桁の借金を抱え、東京で6年ものあいだアパートのタンスで育てたもやしを主食にしていた。

 真面目で努力家だったはずの次男は、東証一部上場企業でのエリート社会人として3年目を迎えたころ、何故か預金額も3万円しかなかった。

 父親の英才教育を受けていた三男は、高校生にして卓越した釘読みスキルを身に付けたが、負け分が30万円に達した瞬間に自作の収支表をライターで燃やした。

 そしてパチンコを頑なに否定していた四男は、気が付けば新卒内定を全て辞退し、オーストラリアのカジノに想いを馳せていた。

 

学ランに袖を通したころにマリオテニスで5,000円を奪われた時には、それが確信に変わった。この家は、何かがおかしい。